立ち食いステーキ「いきなり!ステーキ」のビジネスモデル

・消費者にとってありがたすぎる本格化ステーキ店

「いきなりステーキ」を利用したことがある人も多いのではないでしょうか。
いきなりステーキは、良質なステーキを驚くような低価格で食べることができるお店で、なんとあの「ペッパーランチ」を展開しているペッパーフードが運営しています。

通常の飲食店は、原価率が30%程度であるのに対し、いきなりステーキの原価率はなんと50%を超え、消費者にとってはお得感の高いありがたいお店ですが、ビジネスとしては利率の高い商売とはいえません。
そこでいきなりステーキでは、店舗運営を立ち食い形式にすることでお客様の回転率を高め、収益を増やす工夫をしています。

一般的なステーキ店では、ステーキをオーダーするとちょっとした温野菜などの添えものが一緒に出てくることが多いですが、こうした添え野菜を実際に食べる人は少なく、捨てられてしまうことが多く、大きな無駄が出てしまいます。
ステーキを食べに来る人は、おいしい肉が食べられれば十分なのです。

そこで、メニューをライスとサラダくらいのシンプルなものにすることで、無駄になってしまう食材を減らし、コストを下げているという店もいきなりステーキならではの工夫だといえるでしょう。
確かにオーダーして出て来るステーキには、余計な添え物はなく、かなりシンプルです。

・ビジネスをトータルで考えたのが勝因

いきなりステーキのコンセプトは、「俺のイタリアン」などで知られる俺のシリーズから生まれたそうです。
俺のシリーズも、世界中から優秀な料理人を雇い、高級食材をふんだんに使った素晴らしい料理を低価格で提供しています。

いきなりステーキと俺のシリーズに共通しているのが、お客様の入店から商品の提供、退店までをトータル的に考えたビジネスモデルを展開しているという点です。
従業員をできるだけ少なくし、立ち飲みや立ち食い形式を採用して顧客の滞在時間を短縮する。
俺のシリーズにおいては、滞在時間を設定して、時間が来たら退店していただくシステムを導入しています。

このようにあらゆる面でコストを下げ、運営の効率化を図ることで家賃などの経費を差し引いても大きな収益を生んでいるのは、質やコスト、環境などを広い範囲で見つめ、ビジネスモデルを打ち立てていることが勝因だといえるでしょう。

落ち着いてゆっくりと食事を楽しみたい人にとっては、いきなりステーキのような運営はマッチしていないかもしれませんが、忙しい中でもおいしい食事を食べたいという、顧客ターゲットを絞っている点も、ビジネスを成功させている要因のひとつ。

また、こうしたビジネスモデルを理解した上で顧客が来店するという、わかりやすい運営を展開している点も、リピーターが多い理由だと思います。