戦略としてのマーケティング

マーケティングは戦略を立てることから始まる

営業力が弱いという悩みを持っている会社に共通しているのが、属人的な根性論が社内の空気として蔓延しているということです。

現在50代くらいの営業担当者というのはバブル期など景気が上向きになっている時に若手を経験しているため、営業成績が悪いのは本人の努力が足りないからという思い込みを持っていがちです。

さすがに今どきはっきりと営業成績の上がらない若手社員に対して「根性が足りないからダメなんだ」と檄を飛ばすような人は少なくなりましたが、心のどこかではもっと本人の頑張りに期待したいというふうに思っていることはあるでしょう。

しかしこの場合の「頑張り」というのは顧客に拒否をされても何度も頭を下げ、土下座をしてでも購入してくれるよう頼み込むという意味を含んでいることも多く、実際のところそこまでしても営業成績が飛躍的に高くなるとは到底考えられません。

現在の社会情勢を考えて営業成績を高めていくなら、個人の根性や努力に頼るのではなく組織的に動いていくことができるフットワークの方がより大切になります。

信頼感を得られるためには組織の協力が必要

例えば自分が顧客になるとして、熱心に営業に来る人がいたらどうでしょうか。

その人はいつも一生懸命にセールスをしてくれ、製品の安全性や便利さについて丁寧に説明をしてくれます。

それで根負けをして製品を購入することにしたとします。

しかしその製品を使っていてちょっと気になる点があったので、カスタマーサービスとして書いてある電話番号に連絡をしたところ、いかにもめんどくさそうなつっけんどんの対応をされたらどうでしょうか。

または購入について連絡を会社に入れたところ、営業をしていた人なら当たり前に知っていたことも知らず、本人が帰らないとその件についてはわからないといった対応があったときにはその会社にどんな印象を持ちますか。

おそらくその営業マン本人には悪いとは思いつつも、二度とその会社の製品は買いたくないと思うでしょう。

マーケティング戦略を立てていくときには、まずはテクニカルな面よりも先に社内の体制を整えるということが大事になります。

営業担当者一人しかわからないという情報をなくし、常に進捗状況を把握できるように「見える化」を進めていくことができなければ、一時的に販売をすることができてもそれを次に継続することはできません。

必要に従って組織の再編をするなど、社内の実情に沿った業務フローを作っていきましょう。

強みを作ってまずは一番を目指す

マーケティングをするときにはまず自社の製品やサービスのどこに魅力があるかということをきちんと把握する必要があります。

とはいえある程度便利さのある製品であっても、日本一や世界一になるということはおそらくそう簡単にできないでしょう。

そこで戦略的にマーケティングをしていくなら、まずは自社の営業エリアを絞込み、その範囲でナンバーワンを目指すという方法が効果的になります。

「市内ナンバーワン」といったエリアなどや「○○という部品ならナンバーワン」といった小さな業務分野でもよいです。

特定の範囲でナンバーワンになれるところを見つけたら、その範囲だけで営業をかけて安定的な収益が得られる体制を作っていきます。

ホームセンターやドラッグストアなどの小売店の中には本社のある県からは出店を拡大しないと決めているところも多いですが、それらも拡大さえすれば売上が上がるといった考えではなく特定のエリア内でのシェア確保の方に全力を上げているがゆえの戦略です。