マーケティングの基礎知識

マーケティングの基本は市場をつかむこと

日本企業の多くが抱える問題が「営業力の弱さ」です。

近代の日本において経済的に大きく発展したのは太平洋戦争が終わってからの約20年の間に起こった高度成長期です。

高度成長期では数多くの人が自分で工場やお店を持ち、そこで独自の技術を開発していくことにより規模を拡大させていくことができました。

現在大企業や中堅企業として存在している会社の多くはそうした高度成長期にできた企業で、当時世間的に存在していた「よりよい製品を作ること」という会社方針を掲げて運営を続けてきました。

しかし時代は変わり消費者意識や景気動向が変化をしたことにより、かつて常識のように言われてきた「よいものを作れば売れる」ということが全く通用しなくなってしまいました。

高度成長期にあったような企業側がまず先に商品を提案することでそれを多くの消費者に欲しいと思わせる方法のことを「プロダクトアウト」と言います。

マーケット用語としてプロダクトアウトの反対語とされているのが「マーケットイン」で、こちらは世間の情勢などからより多くの人が欲しがっているものを探してそれを商品化するという方法です。

商品開発においてどちらが絶対的に正解ということはないのですが、不景気の時代においては「マーケットイン」方式の方がより多くの顧客を獲得できるとされています。

消費者の心をつかむ販売方法とは

インターネットが普及したことで、今や消費者の多くはプロはだしの知識を簡単に手に入れることができるようになりました。

例えば家電製品のように大きな買い物をするときには、その製品についての細かい仕様を公式サイトで確認するとともに、実際に購入をした人の口コミを調べ、他社との機能を比較して、さらにどこが一番安く買えるかということまでものの数時間で調べることができます。

厳しい消費者の視点を納得させるためには、自社の製品やサービスにはどんな強みがあり、購入することでどんなメリットがあるかということを明確にする必要があります。

世の中全体が高い買い物をしづらくなったと言われているものの、一方で自分が納得するものや本当に欲しいと思えるものについてはきちんとお金を出して購入するという消費者傾向も見られています。

問題は消費者をどう説得するかということになってくるので「省エネ」「大容量」「軽量」などどこかに他社と差別化をするための工夫をしていくことが大事になります。

安易な低価格化が起こしたこと

他社との差別化をはかることがマーケティングの基本とは書きましたが、そこで最も注意をしたいのが安易な「低価格化」をしないということです。

「省エネ」や「小型軽量」といった製品的な特徴で強みをつくるためには技術開発や製品ベースの確立など難易度の高い工程が必要です。

しかし既に存在している製品やサービスの価格を下げるというのは大した努力もいらず、誰にでも思いついてしかも効果の高い方法となります。

その結果として営業力や技術開発力に自信のない企業などはすぐに価格を下げてしまうので、それが同業他社の価格低下も招き、どんどん自分の首を締めていってしまうことになります。

低価格化を実施するなら、まずは社内の構造改革などをして原価を下げることができる体力をつけてから行わなければ意味がありません。

楽な方法に頼りはじめるとどんどん抜け出せなくなってしまうということを忘れてはいけません。