生産だけでは終わらない”食品”

野菜

農業にも営業力が必要になる時代

2011年の東日本大震災は、日本国内の経済を文字通り大きく震撼させました。

震災の影響を多大に受けたとされるのが「食品業界」と「電気業界」の2つです。

特に被害状況が甚大であった福島県内においては、海岸線にある都市で作られていた農産物は軒並み買い手のつかない廃棄処分となり、原子力発電所の影響がないとされていた内陸の都市でも福島産であるというだけで風評被害を受けてしまうことにもなりました。

その反面で新たなビジネスとして誕生するようになったのが、震災からの影響を受けることがなかった西日本方面の農家や生産者が仲介業を通さず直接消費者に販売をするというものです。

震災以前より農協や仲介業者を使わず自分で販売用サイトを作ってそこで買い手を見つけるといった営業方法は少しずつ増えてきていましたが、震災という強烈な出来事が起こったことによりその動きが一気に加速することになったと言えます。

しかしながらもともと農家というのは食品を生産するところまでが仕事の第一次産業であったため、営業のための設備もノウハウもありませんでした。

そこで現在ではマージンを抜かれることなく自らが経営をする農家としてビジネスモデルを転換する必要性が多く言われるようになっています。

第六次産業としてスタートする

農家のような生産をする業種を「第一次産業」、それを食品として販売できるように加工をしていく業種を「第二次産業」、そこでできた製品を販売したりサービスとして付加していく業種を「第三次産業」といいます。

新しい農家のビジネスモデルとして目指されているのがこの第一、二、三次産業全てを行う「第六次産業」です。

折しも農業改革として農協組織の解体や農業の株式会社化が認められるようになった現在ですので、今後コンサルタントなどの意見を聞きながら新たな業務を展開していく農家が多く登場していくことと思われます。