「実は家事が嫌い」という女性の潜在的ニーズ
人生設計の常識として結婚と夫の両親との同居というルートが敷かれていた時代には、女性は必ず家に入りそこで家事を担当していくということが当たり前に求められていました。
嫁入り修行として炊事洗濯を勉強するなんていうことも言われていた頃もあったものですが、結婚という価値観が大きく様変わりし、女性に求められる役割もまた大きく変化をすることになりました。
最も大きな変化となったのが共働き世帯の増加であり、夫のみが就業している「専業主婦世帯」はここ10年の間に急激に減少をしています。
そんな時代の変化で浮き彫りになってきたのが「実は家事が苦手である、嫌いなのでできるだけやりたくない」と思っている女性の存在です。
当時は口にすることさえはばかられていたようなことですが、きちんと自分で収入を得られる立場を実現することができたことにより、嫌いや苦手といった言葉を堂々と口にすることができるようになりました。
不満や不足はビジネスの種と言われますが、そうしたニーズを受け止める形で今急速に拡大しているのが「家事代行サービス」です。
従来の家政婦サービスをより一般の人にも使いやすい形で提供するもので、1~2時間の間に全ての家事を片付ける文字通り「家事のプロ」が派遣されるビジネスモデルです。
人材の確保と賃金体系の確立が課題
家事代行サービスではほぼ住み込みで専属の仕事をする家政婦さんとは異なり、必要な時に必要な仕事だけをお願いするという手軽な内容になっていることが特徴です。
料金は業者によって違いがありますが、1時間あたりの料金でいけば3000円~5000円程度と決して高い額というわけではありません。
利用者にとって「このくらいなら払ってもいいかも」というお手頃な価格帯にすることでニーズを増やそうという考えで料金体系がつくられています。
しかしその一方で、人材の確保が難しい課題となっています。
家事は特別な資格や技能が必要というわけではなく、慣れや勘といったものが仕事の質を左右するものです。
それだけに平均的に時給額を決めたり、その人ごとに時給額をアップさせたりということが難しく、継続的に仕事ができる人をどう確保していくかということが課題になってきます。