Jリーグに導入されるチケット価格最適化

チケットの動的価格のAI化

Jリーグなどスポーツ観戦のチケット料金は、需要と供給のバランスや様々な要因によって決定されています。
データ分析を行い、リアルタイムで最適な価格を設定することでロスを無くし、できるだけ多くの人に足を運んでもらって利益を上げるためです。
ですがそのデータ分析を人間が行うには手間も時間もかかりますので、現在ではAIの導入が進められています。
人が決定するよりAIによって動的価格を決めた方が、5~20%も収益アップが期待できると言われており、今後ますますAIの導入が進むことでしょう。

AIチケット価格最適化のビジネスモデル

AIによるチケット価格最適化は、システム構築をゼロからしなければならず、販売者自身で行うには時間も費用もかかります。
そういったニーズに応える価格分析から最適化まで請け負うシステム会社が登場しており、今後AIによる動的価格設定はそのサービスを利用するようになるでしょう。

有名な会社で言えばダイナミックプラス株式会社があります。
三井物産とヤフー、ぴあが共同出資して設立された会社で、プロ野球やJリーグへのサービス提供が始まっています。
ビジネスモデルとしては、試合を運営する興行主にAIシステムを提供、それぞれのゲームに対する最適価格を出して得たチケット売上額から手数料を支払う構造です。

ダイナミックプラス株式会社の技術の供給元は、アメリカの価格分析会社MarketShare Partnersのアルゴリズムであり、世界最大のチケット販売会社Ticketmasterにも同システムが採用されています。
アメリカのスポーツ観戦では、各チームがこういった価格分析会社のシステムを活用し、試合ごとのチケット価格最適化を行っています。
試合直前まで価格変動するため、ファンは天候や選手の発表、リーグにおける順位などの要素を分析し、チケットを買うベストなタイミングを見極めるのも1つの楽しみになっているそうです。

Jリーグのチケット販売におけるAI導入の意味

Jリーグの動的価格もAIが一部導入され、注目のゲームのチケットをいつ買うか、そのタイミングもJリーグを楽しむ新たな要因となっています。
同じゲームでも、買うタイミングによって高くなったり、悪天候な曜日や順位が落ちたチームは安くなったりするからです。

AIシステムを導入することで、リーグの順位争いや注目度の高いチームのゲームなら需要が高いことを踏まえてチケット価格を高く設定し、優勝争いには関係ない注目度が低いゲームや天候が悪い日など、需要が低いと判断して通常価格より安く設定します。
需要が高ければ設定が高くても売れますし、定価より安いなら「安いし観に行ってみようかな」という誘導にもなり、新しく興味を持ってくれるファンの開拓にもなるのです。