経営戦略を考えるうえで使用したい5Forcesとは?

競争戦略を考えるための「5Forces」の特徴、注意点

「5Forces(ファイブ・フォース)」は、ハーバードMBAの教授であるマイケル・ポーター氏により提唱されるようになったフレームワークです。
これは簡単に説明すると、自社が販売している製品やサービスについて5つの要因から現状を分析していくという方法のことを言います。

5つの要素とは、「新規参入」「代替品」「供給業者」「顧客」「競争業者」となっており、それらを分析することにより自社はどこに優位性があるかということを判断していくことができます。

「5Forces」という言葉が最初に登場したのはマイケル・ポーター氏による著書の「競争の戦略」という書籍からで、業界内にある自社の地位を正しく把握することで成功をする方法を探っていこうとまとめられています。

著書「競争の戦略」が発表されたのは1980年とビジネス論としてかなり古く、当時は企業の勢力図が現在とはかなり違っていました。

現在はサービス業が中心となっていますが、現在より30年前の時代には実際に何かものを作ったり製品を製造したりする事業の方が圧倒的に多かったのです。

また産業構造が市場において固定的であったということも大きな特徴で、競合他社の範囲も見てすぐわかる広さとなっていました。

しかし現在ではITサービスが登場してきたことにより、書店が電子書籍サービスと競合するような業界をまたいだ競争が発生するようになっています。

そのため当時の5Forcesの理論を現代の企業分析に用いるのは難しい部分があり、5つの要素だけを分析しても業界内の様子を正しく把握することができなかったりもします。

将来的な戦略作成は別のツールを使う

5Forcesという考え方は現代の市場においては古いものというのがビジネス界での常識です。
そもそもとして5Forcesをして優位になるのはすでにシェアを大部分に獲得している企業のみであり、目に見えてわかる競合他社としか分析をすることができません。

極端な言い方をしてしまえばこの5Forcesで優位であると判断されても、実際の市場においては売上を伸ばすことができないというふうになりますので、あくまでもこの分析方法は同じフィールド内で競合する他社との関係を明確にするという役割までということになります。

わかりやすく説明をすれば、例えば旅行業界において大きなシェアを獲得していたとしても、そもそもとして「旅行」という娯楽方法が他の娯楽に比べて人気のないものになっていれば5Forcesでいくら自社が有利と分析できても売上を伸ばすことができないということになります。

そのため自社の将来的な戦略を考えていくためには、5Forcesだけではなく多くの市場をまたいで判断できる新たな現代的ビジネスツールを使用することが好ましいと言えます。