企業の強みを抽出するコアコンピタンスとは?

企業活動における優位性を求める「コアコンピタンスと」は

コアコンピタンス(Core competence)は、経済学者ゲイリー・ハメル氏およびC・K・プラハラード氏によって提唱された新しいマネジメントスタイルのことです。

最初に世の中に登場したのは両氏の共著である1994年出版の「コア・コンピタンス経営」という書籍からで、日本においても翻訳されたものが購入できるようになっています。
書籍は約470ページのものですが、わかりやすく書かれているので詳しく知りたいという人はぜひ一通り読んでみることをおすすめします。

まず最初に「コア・コンピタンス」とはどういう意図で使われる言葉であるかということから解説していくと、直訳では「核となる能力」という意味になります。
これは企業活動においてはその会社における最大の強みというふうに言い換えることができ、市場全体の中におけるその企業の独自性のことを示します。

どんな企業においても自社独自の得意分野というものが存在します。
日本企業で言えばトヨタにおける「カイゼン」などの生産管理方式であったり、ソニーの小型化技術といったことがわかりやすい例となります。

コア・コンピタンスという言葉が登場したのは1990年代ですが、日本においてその概念が受け入れられるようになってきたのは2000年代に入ってからです。
というのも2000年以降の世界的な市場においては、従来までのような経営手法で生き残っていくのは難しく、新たな経営哲学が必要とされる時期であったことが理由です。

1990年代に主流となっていたのは「競争戦略」という概念で、コストリーダーシップ、差別化、集中化という3つが最も効率のよい経営手法というふうに思われてきました。

言い換えるならば新興企業が大企業に勝つ、もしくは大企業が新興企業に負けない優位性を維持するためには、業務を先鋭化して無駄を削ぎ落とし徹底的に交戦するということがよい方法であるというふうに思われてきたということです。

日本においても社会現象になった「リストラ」もこの流れによるもので、いらないものをどう切り捨てるかということが重要視されていたということになります。

分析ポイント

コア・コンピタンスの分析ポイントとなるのは「模倣可能性」「移動可能性」「代替可能性」「希少性」「耐久性」という5つの項目です。

日本における採用事例

日本においてもコア・コンピタンスによる経営で成功をした例がいくつかあります。
先にも述べたソニーの小型化や、その他にもシャープの液晶技術、本田技研のエンジン、富士フィルムの精密技術といったようなものです。

他の企業にはできない技術を伸ばしていくことにより、市場における優位性を保つことができ、また新しい市場を開拓することが可能となります。