課題の洗い出しや差別化戦略の構築に使えるバリューチェーン

差別化戦略を実現するバリューチェーン分析

日本語で価値(Value)の連鎖(Chain)と呼ばれる「バリューチェーン」は、アメリカの経営学者・ハーバード大学経営大学院教授のマイケル・ポーター教授が提唱したフレームワークの1つです。
原材料・部品の調達から商品の製造、加工、商品の出荷、配送、さらにはマーケティングや販売、アフターサービスまでの一連の作業を「各工程の集合」と捉えるのではなく、価値の連鎖であると考える方法です。
各工程を機能別にレイヤー化して分類、それぞれの強み・弱みを明確化することで他社との差別化戦略の構築や課題の洗い出し、効果的な経営資源の再配分や経費削減などを可能にします。

バリューチェーン分析のステップ

バリューチェーンを実行するためのステップは、まずバリューチェーンを図式化することから始めます。
事業で行っているすべての活動をリストアップし、機能別にレイヤー化を行い、さらに主活動と支援活動に分類した上で、主活動を左から右、その上に横長の支援活動を重ねてバリューチェーンを図式化します。
具体的な分類例は、販売・マーケティング、製造、サービス、出荷物流などの主活動に、全般管理、人事・労務管理、技術開発などが支援活動です。
次に図式化した各レイヤーのコストの洗い出しを行い、さらにレイヤーごとに強み、弱みを分析していきましょう。

ここでは価値(Value)・希少性(Rarity)・模倣可能性(Imitability)・組織(Organization)の4つで評価するVRIO分析を用います。
VRIO分析を使ってレイヤーの強み、質を見極めて優先順位を設定すると、個々の強みを見つけてスコア化して競争優位性やレベルを可視化できます。
すると注力するべきレイヤーは何なのかが明確になり、経営資源の最適化を図れるようになるという考え方です。
もちろん、この分析でマーケティングを行い成功するためには、競合他社の動向にも注意を行うことが大切です。

バリューチェーンによる独自戦略を行うオイシックスの例

Eコマースサイト・オイシックスは、食品の安全管理意識が甘く、食品のネット販売があまり一般的ではなかった2000年にサービスを開始した通信販売のサイトです。
「食品の安全性」と「美味しさ」さらに「利便性」のバリューに目をつけ、当時珍しかった有機栽培、無添加食品にこだわった食品をネット販売することで、差別化を図り成功を収めます。

オイシックスがバリューチェーンによる強化を行うことで、まだ日本で一般的ではなかったネット販売での生鮮食品販売のビジネスモデルを確立、受注後に収穫を行うという独自モデルの構築を実現しています。
ポリシーの徹底、加えてオンライン販売のみという差別化を行ったことで、優良顧客の獲得と維持に成功した事例です。