AKB商法から学ぶビジネスモデル

・AKBだからこそ売れた?「AKB商法」の実態

AKBというと、総選挙や独自のCD販売方法などで注目を集め、結果国民的アイドルとなった異色のアイドルグループというイメージがあります。
CDの販売においては、CDの中に握手会の参加券を同梱することで、1人に複数枚のCDを購入させる意図があったとされ、この商法には批判的な意見も多かったようです。

その半面、AKB商法が功を奏したのか、AKB自体が爆発的に売れていき、後発で同じ商法を起用したアイドルグループもいくつか登場しました。
しかし同じ商法を取り入れても、AKBのように爆発的に売れたアイドルグループは生まれなかったのです。

AKB商法はCDを複数枚買わせることに焦点を置いているのではなく、ターゲットをしぼったファン作りを目的としているところが勝因だったのではないかといわれています。
AKB劇場と呼ばれる会場を秋葉原という、いわゆる「オタクの聖地」に作ったことも、そういた意図があったのでしょう。

これまでのアイドルは、幅広い層から支持され、いろいろな人にCDを購入してもらえるような存在を目標としていましたが、AKBはそうではなく、一部でいいから熱狂的なファンを作ることに重点をおきました。
その結果が、複数枚のCDを購入するという行動につながったのです。

熱狂的なファンを増やし、そのハートを長い期間掴んでおくには、ファンとのコミュニケーションや「身近なアイドル」的な要素が重要になります。
そこで、前述した「AKB劇場」を作り、今までのアイドルのような雲の上の存在ではなく、比較的身近ですぐに会いに行けるような場所を用意しました。

・ファンの支えが大きなアイドルグループに成長させたもっともな例

AKBのメンバーを見てみると、これまでのアイドルのように抜きん出た容姿をしているメンバーは少ないと思います。
総選挙で上位を獲得しているメンバーは特に、街を歩いていても気づかないのでは、と思うような素朴な印象を受けますが、それでも総選挙で上位を獲得するのは、ファンとの密なコミュニケーションのによるものです。

握手会やファンとの触れ合いの場で、テレビには映らない自分の個性をアピールし、それを実際に目の当たりにしたファンが徹底的にメンバーを支持することで、センターを得ることができるわけで、いかに「身近なアイドル」的売り方を実践してきたかということがよくわかります。

AKBのビジネスモデルは、目先の売上だけを考えたものではなく、広い範囲で綿密に企画されたもの。
傍から見て同じだと思われる売り方をしたところで、AKBのような売上を上げることはできないのです。
AKBだからこそこうしたプロデュースが成功した、実に特殊なビジネスモデルだと思います。