除菌水宅配ビジネス

ウイルス感染対策として注目される次亜塩素酸水

世界的問題になっているコロナウイルスをはじめ、インフルエンザ、ノロウイルスなど冬場の乾燥する季節にはウイルス被害が多く発生します。
特に病院や介護施設など、人々が密接する空間で過ごす場では集団感染対策をしっかり行う必要があります。
「うがい手洗い」が大切と言われていますが、感染力のあるウイルス感染対策には心細いものです。

そこで近年注目を集めているのが「次亜塩素酸水」を用いた除菌水の存在です。
次亜塩素酸水なんて使ったことないという人も多いかも知れませんが、この「次亜塩素酸」とはプールの除菌や漂白剤にも使用されていますので、実はなじみのある物質と言えるでしょう。
次亜塩素酸は原液を薄めて使用しなければならず扱いが難しいこともあり、限られた用途にのみ使用されていましたが、近年安全に使用できる低濃度次亜塩素酸を作る技術開発が進んだことで、用途の広がりに期待が高まっています。

次亜塩素酸水を使った新ビジネスモデル

低濃度次亜塩素酸を使った新しいビジネスとして話題を集めているのが、株式会社ナックが立ち上げた次亜塩素酸水・ジアコ(ZiACO)の宅配サービスです。
もともと水の宅配サービスで知られる会社ですが、自社製造した次亜塩素酸水溶液を加湿器に用いて活用するビジネスモデルを開発、展開をスタートしています。

専用の加湿器に次亜塩素酸水溶液を入れて、室内に噴霧して次亜塩素酸により殺菌・消臭効果を発揮するというシステムで、加湿器は無料でレンタルできる仕組みです。
例えばジアコの定期利用コースなら、専用加湿器は無料貸出、次亜塩素酸水3リットル3袋が月々利用できます。
なお、次亜塩素酸水の注文が1ヶ月内にあることが無料レンタルの条件となり、1ヶ月以上ない場合にはレンタル料がかかる仕組みです。

除菌水への期待と課題

ウイルスの集団感染が問題になっている現在、施設や病院など大きな施設はもちろん、企業や一般家庭にも除菌水ビジネスの需要は高まってきています。
特に小さなお子さん、高齢者、受験生がいるご家庭など、インフルエンザ感染対策に活用できると期待されているでしょう。
宅配料金が値上がりする近年採算性が悪くなっている水の宅配サービス業界においても、空気感染を引き起こすウイルス殺菌対策に有効な次亜塩素酸水は新しい事業展開のカギを握るビジネスとして参入する企業も増えています。

需要・供給ともに期待される一方で、次亜塩素酸水溶液の単価が高くランニングコストが高いこと、殺菌効果が約3ヶ月と短期間で大量保管ができないことが課題です。
加えて水溶液を室内で噴霧するとクロスやカーテンを変色・劣化させる可能性があることも懸念材料となっています。